それと分からないものが“どろん”と本来の姿に変化する。
そんな秘密の小道具が入る容れ物はいったいどんなものだろう。
木を縦に割ったら煙幕の中にうっすらと商品が見える。
そんな忍者を連想させるような容れ物は作れないだろうか。
容れ物をはじめて開けた人に新鮮な驚きを与えたい。
色とりどりの紙で立体的に組んだ仕切り材の中央に秘密の小道具をしっかり固定。
割られた紙管は、もやい結びで大切につなぎ止めます。
通常、塩ビシートなどを巻き取るための芯材として使用される紙管をパッケージとして利用。レーザー加工で紙管を縦にカットすることで、木を斧で割ったようなイメージにしました。切り口を波形にすることで、組み合わせた際に上下にズレないよう配慮しています。
加工の際に用いた治具は、今回の作品のためにオリジナルで製作していただきました。
使用した紙管は紙をら旋状に重ねて巻いて製造されているため、削りが深すぎると下の層の接合部に穴が開いてしまいます。そのため削りの深さについては何度もテストを重ね、2層目の紙が出てこない程度に表面を薄くレーザーマーキングを施すことにしました。
フタは5枚のマーメイドを合紙しています。2層目の紙が表層化するようレーザー加工で削ることで、紙色の柄を掘り出すイメージとしました。いかに2層目の紙色のまま鮮やかに削り出すかがポイントで、サイズ調整含め、何度もトライアンドエラーを繰り返しました。
カット面にはきれいな紙の断層が見えます。
内部の仕切り材は、微妙なカーブを再現するため、3DCADで設計しました。単純な円柱ではなく、おなかの部分がシェイプした形状となっており、デザインアクセントとなっています。
染色した綿ロープでしっかりと固定しました。