ゆきんこ堂は、冬の間かまくらの中にできる手作り郷土菓子のお店です。雪国の女性たちがお店を切り盛りし、春になるとなくなってしまうことから、雪の精がやっていると噂になり、「ゆきんこのお店」「ゆきんこ堂」と呼ばれるようになりました。
そんなゆきんこ堂に、ある日地元の美術館から「ミュージアムショップに置きたい」とオファーが来ました。嬉しいやら、困ったやらでどうしたものかと考えていたときに、ゆきんこ堂のひとりが地元の美術館で開催された木版画のワークショップに参加。「これだ!」とひらめき、その場の勢いでお菓子の箱のデザインをその木版画家に依頼してしまったのです。
木版画家のふるさかはるかさんに制作してもらった版木をそのまま活版印刷の版にし、テキンで印刷しました。そのため木目や自然の形状が印刷に現れ、アナログな味わいを出しています。木は硬いカツラを使用。実際の印刷では、工業製品のように表面を完全にフラットにするのが難しい素材なので、見た目にはわからない凹凸でノリが悪い部分が出たり、インクの盛りや圧の調整など試行錯誤を繰り返しました。
マーメイドの青味がかった白・フロスティホワイトで「雪」の表現が際立ち、紙自体のエンボスとも相まって風合いのある仕上がりになっています。
土や植物から自作した絵具と、版木の持つ自然な色・形に着目した木版画を作る。ノルウェーなど北国での滞在制作・発表のかたわら各地の山や手仕事を訪ね、近年では自然と共に生きる人びとの言葉や手仕事をテーマにした作品に取り組んでいる。2010年「木版画アトリエ空中山荘」を立ち上げ、教室やワークショップを通して手仕事と絵画の要素をあわせ持つ木版画の魅力を伝える取り組みも行っている。
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